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メールマガジン2025年10月24日号

  • iwata77
  • 10月24日
  • 読了時間: 6分
アリババが「穹徹智能(ノエマトリクス)」へ出資 ―― 中国でエンボディドAI産業の本格的資本競争が始まる

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中国でAIの次なるフロンティアとされる「エンボディドAI(具身知能)」分野に、アリババが本格参入しました。上海のスタートアップ「穹徹智能(ノエマトリクス)」が同社の出資を受け、既存株主も追随。単なる資金調達ではなく、中国テック大手が“AIの実体化”を競う中でアリババが明確な立場を築いた動きです。


生成AIが普及した2023〜24年以降、関心は情報空間に留まるAIから、物理世界で行動する「エンボディドAI」へ移行しました。ロボットに代表されるこの領域では、AI×ハードウェア×システム統合の総合力が問われます。


ノエマトリクスは2023年末設立。創業者の王世全(ワン・シーチュエン)氏と盧策吾(ルー・ツェウー)氏はいずれもスタンフォード出身で、かつてロボット企業「非夕科技(フェイシー・テクノロジー)」をユニコーン企業に育てた人物です。現在は自社開発の「実世界大モデル」と力覚制御を組み合わせた「Noematrix Brain 2.0」を発表し、小売やスマートホーム大手と協業を進めています。設立から2年で5回の資金調達を実施し、すべて数億人民元(約60〜100億円)規模。今回のアリババ出資で企業価値はさらに上昇すると見られます。


他の大手も動きを加速。京東(ジンドン)は3か月で6社に出資し、世界ロボット大会の独占パートナーに就任。テンセントは「智元机器人」などに出資し、エンボディドAIの基盤「Tairos」を公開。美団(メイトゥアン)も10社超の関連企業に投資し、実装競争が本格化しています。



京東(ジンドン)は「車を造らず、車を売る」――自動車消費エコシステムを狙い、無人配送へも注力

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寧徳時代(CATL)や広汽集団(GAC Group)と共同で新車を発表したニュースが話題となった京東(ジンドン/JD.com)は2025年10月、長安汽車およびCATLとそれぞれ戦略提携を締結したと発表しました。協業内容には、長安の乗用車やオートバイ、車両関連製品および部品の販売チャネル開発、また寧徳時代の電池に関する全チャネルでの消費者サービス推進などが含まれます。


複数の業界専門家によると、京東の自動車事業は製造には関与せず、主に販売・流通・アフターサービスを中心に展開しており、「車に関するすべての消費を自社エコシステム内で完結させる」ことを目標としています。


さらに、京東と長安汽車は新エネルギー無人車両の設計・開発・生産も共同で進める計画です。京東は以前から無人配送車の研究を続けており、2024年はその実用化が急速に進んでいます。長安の物流事業においても、幹線輸送やラストワンマイル配送を京東が支援すると見られます。


京東は、自動車の購入から整備、部品交換、バッテリーサービスまで、あらゆる車関連消費を自社エコシステム内で完結させる体制を構築しています。長安汽車やCATL、BYDなどと提携し、販売ネットワークとアフターサービスを一体化。特に車体と電池を分離する利用モデルなど、新しい自動車流通の仕組みを広げています。さらに、物流分野では無人車や配送ロボットの開発・導入を急速に進め、幹線輸送からラストワンマイル配送までの自動化を推進。京東は「車を売るEC企業」から、車と物流を結ぶスマートモビリティ・プラットフォームへの転換を目指しています。



AI時代の電力危機:核エネルギーに注目集まる

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AIの急拡大により世界のデータセンター電力需要が急増し、北米などでは供給逼迫が深刻化しています。米エネルギー情報局(EIA)は2025〜26年に電力消費が過去最高を更新すると予測し、米エネルギー省(DOE)も停電リスクの高まりを警告。AIによる高負荷データセンターの増加で、供給網のボトルネックが顕在化しています。


ゴールドマン・サックスは2030年の世界データセンター消費電力が2023年比で175%拡大すると試算。企業は風力・太陽光などの再生エネルギーと並行して、ガスタービンや蓄電池の導入、核融合研究の実用化に動いています。特に安定的な基幹電源を持つ原子力が再評価されており、AI運用に不可欠な24時間稼働型データセンターの電源として注目されています。


OpenAIのサム・アルトマン氏は核分裂技術企業Okloに出資し、Googleはケイロス・パワー社らと協力して50MW級原子力発電所「Hermes 2」を建設中、Microsoftもスリーマイル島原発再利用を検討中です。米国ではトランプ政権による原子力産業再興政策が追い風となり、原子力発電所の増設・再稼働が現実化の段階に入りつつあります。


中国でも2024年に国営の中国核融合エネルギー有限公司が発足し、2035年までに原子力発電比率を10%へ倍増させる目標を掲げています。証券各社は核融合開発への設備投資が「第15次五カ年計画」で本格化すると見ており、関連機器メーカーの受注拡大を予測。AI時代の計算力拡張は、もはや電力確保の競争でもあります。再エネ・核融合・原子力など次世代電源の開発と、電力供給網の刷新は、AI成長の持続性を左右する最重要テーマとなっています。



発売前から大ヒットの「智元精霊G2」――初日で10億元(約200億円)規模の受注を獲得

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10月16日、智元机器人(ジユエン・ロボティクス)はオンライン発表会を開催し、次世代の産業向けインタラクティブエンボディドAIロボット「智元精霊G2」を正式発表、同日中に10億元(約200億円)規模の受注を獲得し、初回商用出荷も開始されました。


発表によると、精霊G2は産業規格に基づいて設計され、高性能アクチュエータと高精度トルクセンサー、空間認識システムを搭載。タスクの迅速な学習・展開をサポートし、マルチモーダル音声インタラクションに対応しています。これにより、工場、物流、ガイド業務など多様な現場ニーズに柔軟に適応可能です。


同日、智元机器人は均普智能(ジュンプー・インテリジェント)と共同で「精霊G2」のグローバル発表・量産開始式典を開催。同時に均勝電子(ジュンション・エレクトロニクス)との1億元超(約20億円超)の契約分の初回納品も完了しました。2023年11月に登場した前世代モデル精霊G1は、すでに累計出荷1,000台を突破しています。


智元机器人事業部総裁の姚卯青(ヤオ・マオチン)氏によると、新モデル精霊G2はG1のエコシステムを継承しつつ、機能と性能を全方位で強化。同社はG2を「ロボット界の全能力型戦士」と表現しています。G2は高性能関節アクチュエータ、多種センサー、高性能AI計算プラットフォームを搭載し、全方位障害物回避と高精度力制御作業を実現。腰部は3自由度を持ち、人間のように前屈・回転・側屈動作が可能です。


さらに世界初の「十字型リスト力制御アーム」を装備。全関節に高精度トルクセンサーを内蔵し、関節インピーダンス制御で外力を感知して柔軟に応答。5kgの荷重を1ミリ以下の精度)で操作できます。

実演では、生卵を押しても割れないほど繊細な制御性能を披露しました。


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また、智元独自開発の基盤モデルGO-1(行動基盤大モデル)とGE-1(世界モデル)を統合し、複雑・長時間タスクへの対応力を大幅に向上。さらに、NVIDIA Jetson Thor T5000(最大2070 TFLOPS)を搭載し、リアルタイム処理・応答の遅延を10ミリ秒以下に抑えています。マルチユーザー対話機能も備え、知識ベースから個別解説を生成し、質問に即応答。話者の性格や声質も状況に応じて切り替え可能です。


ライブ配信では、精霊G2が自動車部品工場の生産ラインに配置され、シートベルトのロック芯製造を実演。人と協働しながら圧締や搬送などの工程を安全に完了しました。


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姚卯青氏は、「工場は制御しやすく、タスクが明確な環境であり、ロボットの実用化に最適だ」と述べ、「G2によって人を反復・危険作業から解放し、創造的な仕事に集中させたい」と強調しました。

この日の量産式典で、均勝電子向け1億元規模の初回商用納品が完了。また、正式発表前から龍旗科技(ロンチー・テクノロジー)より約1,000台、数億元分の発注を受けており、まずはタブレット生産ラインに導入される予定です。

これにより、エンボディドAIロボットの量産・実運用時代が現実のものとなりつつあります。


 (中国の情報源に基づき編集)

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