業界レポート2026年1月13日
- Jun Hanazumi
- 2 日前
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Cotti Coffee(庫迪咖啡)、日本での「300店舗体制」へ向けた急速な地域拡大
いま、東京の街角で急速に存在感を高めている赤いロゴのコーヒーショップをご存知でしょうか。中国発の「Cotti Coffee(庫迪珈琲、クッティコーヒー)」です。
2026年1月現在、中国発のコーヒーチェーン「Cotti Coffee(庫迪咖啡)」は、日本市場において「第2フェーズ」とも呼ぶべき急速な出店攻勢を強めています。同社はラッキンコーヒー(瑞幸咖啡)の創業者らが2022年に設立したブランドで、2023年の日本上陸以来、都心部を中心に知名度を高めてきました。2026年現在は、従来の東京・大阪といった大都市圏から、地方都市のロードサイドやショッピングモール内へとターゲットを広げ、日本国内での累計出店数300店舗を目指す戦略を本格化させています。

(東京都千代田区神保町にあるCotti Coffee店。当社スタッフ撮影)
Cotti Coffeeの強みは、徹底した「アプリ注文による効率化」と「低価格戦略」です。日本市場においても、入会特典やクーポンを駆使した1杯200円〜300円台の価格帯を維持し、既存のカフェチェーンから顧客を奪い続けています。2026年現在の最新動向として注目すべきのは、日本独自の「ローカル・フレーバー」の開発加速です。抹茶や桜、あるいは日本の旬のフルーツを用いた限定メニューを月単位で投入し、中国流のスピード経営と日本市場の好みを高度に融合させています。
また、同社は日本でのフランチャイズ加盟店の募集を2025年後半から強化しており、初期投資を抑えた小規模な「キオスク型」店舗の展開も急増しています。デジタルネイティブ世代をターゲットにした、現金非対応のスマート店舗戦略が、深刻な人手不足に悩む日本の飲食業界における一つの「解」として注目を集めています。中国で培ったサプライチェーンとITプラットフォームを武器に、スターバックスなどの欧米勢が築いた日本のコーヒー市場を根本から塗り替えようとしています。
「生存確認」アプリ【死了吗】、異例のダウンロード数
2026年1月、中国のApple App Storeで最も議論を呼ぶアプリが登場しました。月境(鄭州)技術サービス有限公司が開発した「死了么(スーラマ。意味:死んだか)」です。本作は「95後(1995年以降生まれ)」の若手開発者3名が、ソーシャルメディア上の議論をヒントに、リモートワークで開発した異色のツールです。一見すると衝撃的な名称ですが、その本質は「死に向き合うことで今を大切に生きる」という哲学と、現代中国で1億2,300万人に達した独居世帯の切実な安全ニーズを掛け合わせた「軽量化安全ツール」です。

(同アプリのインターフェイス。情報源:同社公式サイト)
機能面では、スマートウォッチと連携して生理体征をモニタリングするほか、ユーザーに毎日の「サインイン」を求めます。もし連続して48時間サインインが途絶えた場合、システムが事前に登録された緊急連絡先へ自動的にメールを送信する仕組みです。この「デジタル見守り」の需要は凄まじく、リリース直後からダウンロード数は100倍以上に急増。App Storeの有料アプリランキングで首位を獲得しました。当初1元だった価格は、サーバー増強などのコストを賄うため8元へと改定されましたが、その勢いは衰えていません。
一方で、大手デリバリーサービス「餓了么(ウーラマ。意味:腹減ったか)」に酷似した名称は、不正競争の疑いがあるとして法曹界から懸念の声も上がっています。しかし、Apple側は現時点で規定違反とはみなしておらず、開発チームも「直面しにくい死を直視することで、ポジティブな生を促したい」と、名称に込めた意図を強調しています。現在は短信(ショートメッセージ)通知機能や、遺言のようなメッセージ機能の追加、さらには高齢者向けの新製品開発も計画中であり、わずか1,000元強の投資から始まったこのプロジェクトは、今や資本提携を視野に入れるほどの巨大なトレンドへと成長しています。
CES 2026:人型ロボットUnitreeが示す世界標準への道
2026年1月初旬に米国ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2026」において、中国のロボティクス企業「Unitree(宇樹科技)」は、人型ロボット(ヒューマノイド)の実用化に向けた圧倒的なスピード感を世界に見せつけました。同社のブースで中心となったのは、2025年に発表され、現在量産体制に入っている汎用型ヒューマノイド「G1」の最新アップグレードモデルです。数年前まで研究室レベルの試作機に過ぎなかったヒューマノイドが、今や「製品」として量産ラインに乗っている事実は、会場を訪れた世界の技術関係者に強い衝撃を与えました。

(CES2026展示中のUnitree制人型ロボットが格闘技をPR。情報源:中国のネット)
Unitreeの最大の強みは、自社開発の強力なモーターと関節ユニットによる高い運動性能、そして圧倒的な「低価格化」の両立にあります。今回の展示では、AIエージェントと連動した高度な物体操作デモンストレーションに加え、家庭や小規模な作業現場での導入を想定した具体的なオペレーションが披露されました。テスラの「Optimus」が依然として慎重な開発を続ける中で、Unitreeは「まずは市場に投入し、データを収集して改善する」という中国テック特有の高速サイクルを回しており、すでに一部の先進的な工場や研究機関への導入が開始されています。
さらに、同社はロボットの「脳」にあたるAI部分において、外部の開発者が自由にアルゴリズムを実装できるオープンなプラットフォーム戦略をとっています。これにより、世界中のAI研究者がUnitreeのハードウェアをベースに多様なスキルを開発するエコシステムが形成されつつあります。2026年、ヒューマノイドはもはや「未来のビジョン」ではなく、中国企業が主導する「量産可能な産業機器」へとフェーズを移したことが、今回のCESを通じて明確に示されました。
アリババ「Qwen 3」、世界最強クラスのAIがオープンソース化
アリババクラウド(阿里雲)が展開する大規模言語モデル「Qwen(通義千問)」シリーズは、2026年1月現在、オープンソースAIの世界において、Metaの「Llama」と並ぶ二大巨頭としての地位を確立しています。特に最新世代のモデル群は、英語圏主導で開発された他のモデルと比較して、中国語や日本語を含むアジア圏の言語理解力と文化的なコンテキストの把握において圧倒的な優位性を持っています。この特性が、アジア市場での独自AI構築を目指す企業や開発者にとって、最強の選択肢となっています。

(Qwenのインターフェイス。情報源:同社公式サイト)
日本国内においても、Qwenの活用は急速に浸透しています。2025年後半から2026年にかけて、国内の大手SIerやITコンサルティング企業、さらには学術機関が、アリババクラウドの日本データセンターを活用したQwenベースのソリューション提供を本格化させています。企業がオープンソースモデルを選ぶ最大の理由は、機密データを外部のAPIに送信することなく、自社専用のセキュアな環境で最高水準の推論性能を享受できる点にあります。Qwenは軽量なパラメータ数でも高い精度を発揮するため、日本企業が好む「オンプレミス回帰(*①)」や「エッジAI(*②)」のニーズに完璧に合致しました。
(*①オンプレミス(On-premises)とは、システムをクラウド(外部サーバー)に預けるのではなく、自社内や自社管理下のデータセンターにサーバーを設置して運用することを指します)
(*②「エッジAI」とは、クラウド(遠隔地にある巨大なサーバー)にデータを送って処理するのではなく、ユーザーの身近にあるデバイス(端末)そのものの中でAIを動かす技術)
アリババクラウドは現在、日本国内での開発者コミュニティへの支援を強化しており、日本語に特化した微調整(ファインチューニング)用のデータセットの整備も進んでいます。「高性能な知能を誰にでも手の届くものにする」というオープンソース戦略は、特定のプラットフォームへの依存を避けたい日本企業の戦略と共鳴し、アジアにおけるAIインフラのデファクトスタンダードとしての道を突き進んでいます。
Xpeng:製造プロセスの「完全透明化」で挑む、次世代EVの信頼と絆の再構築
中国のスマートEVメーカー「Xpeng(小鵬汽車)」は、2026年をグローバル展開の決定的な転換点と位置づけ、その中核戦略として「製造プロセスのデジタル・ツイン化」と「右ハンドル市場への本格攻勢」を推進しています。同社が広東省のスマート工場で導入している最新の製造管理システムは、一台の車両が組み立てられる全工程のデータをAIがリアルタイムで記録・解析するものです。これにより、品質管理の徹底的な可視化が実現されており、中国製EVに対する国際的な信頼性の懸念をデータによって払拭する狙いがあります。

(2026年イギリス市場向けに発売予定の新車種。情報源:同社公式サイト)
日本市場への進出動向についても、具体的な動きが加速しています。Xpengはすでに右ハンドル仕様車の開発を完了し、英国や東南アジアでの先行販売を通じて得た知見を日本市場向けのローカライズに反映させ、日本市場進出を公言しています。現在は、日本の法規制への適合や、日本特有の交通環境に合わせた運転支援システムのローカライズを戦略的に進めており、国内での販売・サービス体制構築に向けた準備を着実に整えています。特に日本は「品質への要求」が世界で最も厳しい市場の一つであるため、前述の「製造プロセスの可視化」は、日本の消費者に安心感を与えるための取り組みとも読み取れます。
さらに、Xpengは車両の販売だけでなく、自社が強みを持つ「物理AI(ロボティクス技術を応用した車両制御)」のライセンス供与や、将来的な空飛ぶクルマ(eVTOL)の日本での実証実験も視野に入れています。単なる自動車メーカーの枠を超え、ソフトウェアとハードウェアが高度に融合した「モビリティ・テック企業」として、保守的な日本の自動車市場にどのような変革をもたらすのか、2026年の動向から目が離せません。
((中国の報道に基づいて編集)



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